※血を吸う蚊はもれなく全匹「メス」です。

 夜。とある人間の一室にて。
「クソッタレーっ! こんな埃だらけの所にいられるか! 俺はもう行くッ!」
「だ、駄目! 早まったら! 」
「うおおおおおおおおおお!!!」
『うわ、蚊だ!』バチコーン
「ぎゃあああああああああああああッ!」
「カ里ちゃあああああああああああん!!!」


     『嗚呼、バ蚊どもよ』


   夜刻。とある家の台所。
   人間が寝静まったその場所に、しかし何やらうごめく姿があった。
   その者達は『蚊』。モスキート。闇夜に紛れ紅き鮮血を喰らう現代の吸血鬼である。
海「というわけで全員集合! 作戦会議を始めるッ!」
  ドン(効果音)
海「さて。まず礼を言っておこうか。こんな危険な戦地の中、わざわざこうやって台所に集まってくれた諸
 君らの勇気に感謝する!」←モスキリアファミリー(以下MF)の長、浪漫砲台(ろまんほうだい)のカ
 海
憐「いや、『というわけで』とかいわれても意味わからないんだけど……」←MFの射撃手、弐蝶輝銃(に
 ちょうけんじゅう)のカ憐
海「確かにそうだったな劫火の! 部下たちの理解力を把握できていなかった! すまない!」
憐「さり気に私達の事馬鹿にしたよね? 多分無意識だろうけど」
音「そんなことはさて置きはき置きっ!」←MFの遊撃手、天衣夢抱(てんいむほう)のカ音「でで? 今
 日は一体全体どういった要件なのかなカナ? 私のこの現代の状況から未来の事を考えつつさらに過去か
 ら似たような事例を関連付けさせてその結果の成功度を上げるかもしれない超ハイブリッドかつ超超高度
 な願望5000kmくらいの高高コードなインフェルノ入ってる炎上必死な4コアIQ脳から算出された
 考えによると確か今日はあーとえーとなんだけっ!」
憐「何もかも違うやん!?」
音「てへぺろ」
憐「コイツウザっ! 今日は会議よ。週ごとにやってる報告会、というか井戸端会議だけど」
音「ここは台所である」
憐「それはどうでもいい。私が訊きたいのは、作戦会議とやらをする理由と何の作戦かってこと」
海「そうだな。なら、最初に理由を言っておこう。とはいっても、その理由はもはやその結果には追いつけ
 ないのだがな」
憐「え? それどういう事?」
海「ハッキリ言おう。……里が逝った」
 『――――ッ!』
  ざわ ざわ
 「ま、まさかあの『里』が!?」「血を吸うのが何よりも早かった里が!?」「でもその分、飲み方が汚か
 ったよな」「ああ、漏れまくってた」「びしょびしょだったな」「通称、『SOUROUの里』」「通称、
 IN乱の里」「ふっ、くだらん。所詮は口だけ」←その他
奈「里ちゃんがって……そ、それは本当なの!?」←傷紅女(スカーレッド)のカ奈
海「本当だ。ゴミ箱のティッシュから発見されたときには、既に全身がぐちゃぐちゃになっていた。恐らく、
 潰された後ネリ消しよろしくコネコネされたのだろう。というかネリケシになってた」
奈「そ、そんな……。この事は、カ代子先輩は?」
海「現場にいた」
奈「カ代子さん……」
海「今はそっとしておいてやれ」
 「もう我慢できない!」「ああ、今こそ俺達の力を結集するべきだ!」「このままじゃあ殺されるだけだ!」
 「果物や花の蜜だけじゃ飽きた!」「パイナップルばかりじゃ飽きるんだよ!」「食生活の改善を!」「食
 品衛生の改善を!」「血を……血をくれ。でないと……ぐうっ! 沈まれ、俺の右腕!」←その他
海「確かにそうだが、このままやっても意味が無い」
クエイ「……無策に行ってもカ里の二の舞」←大地終焉(グランドフィナーレ)のカークエイ
海「クエイの言う通りだ。我らは作戦を立てねばならない! というわけで、今回の作戦会議なのだ! も
 う里のような犠牲者を出さない為にも、如何にして人間にプチコロ(ぷちっと殺)されずに済む作戦を考
 える必要があるだ!」
憐「具体的にはどんな?」
海「それはナウ考え中」
クエイ「焦っても仕方ない……」
憐「クエイはもうちょっと素早く行動した方がいいと思うけどね」
音「じゃー三分間待って今一休さんがポクポクチーンと電子レンジに暖められる冷凍食品よろしくリーズナ
 ブルかつそれなりに上手い作戦考えるからねというわけで秘技考えるポーズ!」
憐「あんたはもうちょい静かにして」
海「そうだぞ音。眼鏡を忘れている」
音「コイツはうっかり!」
憐「いや眼鏡かけても賢くならないからね?」
海「知力が上がる」
音「カ音 は 知力 が 2 上がった !」
憐「RPGかっ!」
クエイ「とにかく、作戦を考えなくちゃいけない……」
海「うむ。とゆわけで、作戦会議開始だっ!」

  その頃、とある庭のとある花の上

代子「…………」
   カ代子は一人、打ちひしがれていた。
奈「代子先輩……」
代子「奈ちゃん……里ちゃんが死んじゃったよ」
奈「…………」
代子「…………」
奈「…………」
代子「……ううぅ」
奈「よ、代子先輩。泣かないでください……。私まで……」
代子「ごめんね」
奈「謝らないでください」
代子「ごめんね……」
奈「……今、皆が作戦会議してますよ」
代子「……戦うための?」
奈「はい……」
代子「……そう」
奈「……戦わなくちゃ、いけないのかな」
代子「……解んない」
奈「でも、殺されちゃいますよね……」
代子「…………」
奈「はあ……」
代子「……皆のところ行こ。そうしたほうが、気分も明るくなるよ」
奈「代子先輩。……そうやって、自分の事を棚に上げて、他人を慰めないでください」
代子「ご、ごめんなさい」
奈「もう。……そういうのは、余計に辛くなるんです。自分の無力さに……」
代子「……うん。ごめんね」
奈「……ま、いいです。さ、行きましょう」
代子「うん」
 
  こうして、また夜がふけていく。

海「皆、集まったかッ!」
  とある家の庭。作戦が行われようとしていた。
海「よーし。点呼番号―! まずは1ィ!」
音「足す!」
海「1ィ!」
音「は!」
クエイ「2……」
海「二人しかいないじゃないかー!」
音「私もいるよ!」
海「でも三人じゃないですかヤダー!」
憐「馬鹿やってないで作戦言えよ。結局、最後まで決まらずに終わっちゃったんだから」
音「んや決まったよ? 憐は寝落ちしちゃってたけどね!」
憐「う、五月蠅い!」
音「蠅ではなく蚊ですけど何か」
憐「があーーっ!」
クエイ「どうどう……」
奈「皆、元気だなあ。代子先輩は、大丈夫ですか?」
代子「ん。大丈夫だよ。…………うん」
奈「無理しないでくださいね
海「よぅし! では作戦発表の始まりだぞ。作戦名は……『炎の萌え萌えアタック』だッ!」
音「寝落ちしちゃった憐ちゃんの為に詳細キボンヌ!」
憐「まだ言うか!」
海「うむ! それはクエイからな!」
憐「覚えてないよコイツ……」
クエイ「つまり、愛想を振りまいて血を吸う事をお願いするの」
海「というわけだ!」
音「頭大丈夫かコイツーっ!」
憐「お前が言うなと言いたいところだけど、悲しい事に同意ね」
海「じゃあ、他に何かいい案はあるのか!」
憐「ないけど絵に描いた餅を食うよりはまし」
海「はんっ! やってないのにダメ出しとはな!」
音「黒ヤギさんたら読まずに食べた」
憐「いや、やる前からわかってるでしょ……。クエイ、あんたからもなんとか言ってよ。私達のブレインな
 んだから」
海「ブレインって何ぞ?」
憐「参謀って事よ。知略家」
海「なーっ! 私の方が賢いぞ!」
憐「ブレインも知らんお前が何を言う。後、お前はリーダーだろうが」
海「全てに秀でてこそリーダーだ!」あああああああああああああああああああああああああああああああ
クエイ「でも、欠点を認め、部下に補ってもらう事も大切。それに、一杯知ってるから賢いわけじゃない。
  知ってるだけより、知ってそこから生み出す人が賢いの」
海「成程! つまり牛乳とコーラの味を知っているだけではなくそこから『牛乳とコーラを混ぜたらミルク
  ティーっぽい味になる』という発想を持つ者が賢いって事だな! ならば私に任せろ! 先人の知恵も
  型遅れだ!」
クエイ「そう言う事」
奈(やっぱクエイさんの方がリーダーっぽいなあ)
クエイ「…………一杯しゃべったら疲れた」
奈(と思ったけどやっぱりどうだろう)
憐「つかそれって美味しいの? ミルクティーっぽいの」
海「悪くないけどぶっちゃけその発想はいらなかった」
憐「そう……」
音「ねー、そんな事より作戦どうするの? イクの? イかないの?」
海「おっと、そうだった。ならば行こう! で、誰が一番最初に行く?」
奈(ど、どうしよう。やりたくない! あまり目立たないように黙ってよう……)
憐「私は嫌よ」
海「何故に!」
憐「いや、というか無理でしょ。色々と」
海「しかし誰かがやらねばならん」
憐「いや、でもないわ」
海「えーいじれったい! なら私が行くぞ!」
音「なら私も行く!」
海「いや私が……」
音「いやいや私が……」
海「いやいやいや……」
憐「なら二人とも逝ってらっしゃい」
海「おあーーーーーーっ! ノらないだと!?」
音「ば、バカなー!」
憐「あんたらやるきあんの?」
海「しかし誰かがやらねばならん!!」
憐「だーかーらー……」
クエイ「……なら、他に案はあるの?」
憐「……ないけど」
クエイ「そう、ないの。この作戦だってそう。成功するなんて思ってない。でもないの。他には何も。私達、
 蚊にできる事なんて」
憐「…………」
音「私達の能力と言えば、気配を消すのが上手いのと回避率が高いだけだよねえ。当たらなければどうって
  ことはないを地で言ってるっていうか。生けるゼロ戦っていうか。そのせいで装甲バリ薄。せめて12
  000枚の特殊装甲と、ATフィールドがあればなあ」
クエイ「私達には何もないの。だから、何でもするしかないのよ」
憐「……でも、失敗するのは間違いないわよね」
クエイ「それでも……」
憐「それ以外に路は無い、か……」
代子「……なら、私がやる」
奈「え、先輩!?」
代子「里ちゃんは私の友達。それに、里ちゃんが死んだのは、私がちゃんとしてなかったのもある……」
奈「そ、そんな!」
海「代子。言っておくが、これは里とお前だけの問題ではないぞ。いずれは考えなければならない事だ」
代子「うん。わかってる。でも……私がやるの」
海「……しょうがない。誰もやろうとしないしな」
代子「……ありがとう」
海「……よし、行け! 代子!」
代子「うん! よ、し……?」がくり
  代子は飛ぼうとしたが、羽根が上手く動かなかった。
代子「あ、あれ……?」
奈「代子先輩!?」
海「音!」
音「はいはいー。回復薬の音さんにお任せー」
  音は代子の羽を診た。
音「あー。羽根が駄目だね。大分、痛んでる。もしかして、里さんの時の?」
代子「……うん。隠しててごめん」
音「いや、謝らなくてもいいけどさ。でも、これじゃあ、速い飛行や長時間の飛行は無理だね。普通に飛ぶ
  くらいなら大丈夫だけど」
海「むう。それじゃあ、いざと言う時に逃げる時に不利だな」
代子「……大丈夫だよ」
海「いや、しかしだな……」
代子「しかしもないよ。そもそも、作戦自体が失敗したら逃げられなよ。万全の状態でも。そうでしょ?」
海「むう……」
代子「だったら、このままでも……」
憐「あーもーわかったわよ! 私がやる!」
海「憐!」
憐「こんな大仕事、他の奴らに任せておけないからね! いいわよ、やってやろうじゃないの!」
海「憐……」
音「流石憐! 私達にできない事をやってのける! そこに痺れる憧れるぅ!」
海「逆にヤられるなよ。まあ、骨くらいは拾ってやる。多分跡形もないけどな!」
憐「コイツらは人がせっかくやる気出してるっちゅーのに……」
代子「……ごめんね」
憐「っ。ふ、ふん! 別にアンタの為じゃないっての!」
音「ツンデレ乙」
憐「そうと決まったらやってやるわよ! 皆はそこで見ていなさい!」
  そう言って、憐は飛び立っていった。
海「……でも、アイツに愛想何てあったかな」
音「ツンデレーションならできるけどね」
クエイ「リアルのツンデレは酷い……」
海「やっぱ人選間違えたかな」
音「蚊だけどな!」
代子(大丈夫なんだろうか……)

 という彼女らの思案も他所に、夏は葉っぱの上で機会を伺っていた。
夏(やれる、私ならやれるわ。少なくともアイツ等よりかマシ!)
人間『〜〜♪』
夏(来た!)
  ぷーん
 『ん?』
夏「あ、あああああの! も、もしよかったら、血、吸わせて――」
 『うわ、蚊だ!』バチコーン
皆『あっ……』
憐「ギッ――。
    ぎゃあああああああああああああああ!!!??!? 痛い痛い痛い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
  死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ああああああああああああああああああ!?え嘘嘘嘘嘘あきふぁsdjrふぇbv
  dぎあがががががががががががががggg!!!えfwあtygあふぁあfvsfsgあああああ あ
  g    dfd345 あああ     あ!ああぎytdfああぐぇr!ああああ  あああああ
  だfsあ あ うjty   ;8y3    29あ?あ あdふぁ    sあああくぁwせdr
  ftgyふじこlp;‘^^あっ?^^あっ?^^あっ?^^あっ?^^あ――――――――――――
  あqwせdrftgyふじこlp」
 『うわ、まだ動いてるよ。コイツ』
憐「オ、ア……カッ……カ、ハアッ――ハアッ――ア……い、イヤ……助ケ……殺さ、な――」
 『チッ、キモイ』こねこね
憐「イィッ――!」
海「憐んんんんんんんんんんんんん!!」
音「生命活動を停止……死んだのだ」
クエイ「…………」
奈「ちょ、ちょっと皆! なんでそんなに冷静なの!?」
  奈は怒りをあらわにして、羽根をブーンと鳴らした。
海「怒るなら何時でもできる。しかし今は、この失敗からどう成功へと導くかが重要なんだ」
奈「でも――!」
クエイ「海の言う通り。それに、犠牲は覚悟していたこと。それとも、まさか死なないと思っていたの? 」
奈「! それは……」
クエイ「なら、貴女に起こる権利はない。貴女は、貴女が選ばれなくてホッとしているはずだから」
奈「――――っ!!」
音「哀しいけどこれ、現実なのよね」
奈「ううぅ……っ!」
代子「…………」

  というわけで、第一『萌え山』作戦は失敗に終わった。

海「まるで血と骨と肉のミックスジュースだな。トマト風味の」
奈(また吐き気してきた……)
  海たちはティッシュに捨てられた夏の残骸を掘り出していた。
クエイ「ちゃんと葬ってやらないと……」
海「もう火葬する前から塵になってるけどな。儚い」
音「む ご す ぎ る……」
海「墓が無いと書いて儚いのさ」
クエイ「意味は?」
海「さあ?」
音「ま、予想通りの結果という事で」
海「めでたしめでたし」
夏(死亡)『だったらさすなやーーーーーーっ!!』
海「夏回収完了」
夏(幽霊)『ああ、呆気なく死んでしまった……』
海「いいRYONAっぷりだったぞ!」
音「GR! GOODRYONA!」
夏(GR)『コイツら殺す―――――っ!』
音「お前がなあ!」
奈「夏ちゃん……うええん」
夏『え、あ、ちょ! 奈、泣かないでよ!』
奈「うえええん。だってえええ……」
夏『奈……』
代子「ごめんね……」
夏『あ、謝る事はないわよ。私がやろうと思って、私がやって、私が失敗したの。それなのに謝るとか、貴
 女、私を否定するつもり?』
代子「う…………あ、ありがとう」
夏『解ればいいのよ』
海「よし、いい雰囲気になったところで、次はどんな作戦で行こうか!?」
クエイ「……やっぱり、蚊は蚊らしく隠密に徹底するべきなのかも」
海「隠密か。なら、音の出番か?」
音「ふふふ。この『0G』と呼ばれた着地テクから成る私の足技で軽く逝かせてあげるよ!」
奈「あ、足技!?(なんかエロい!」
音「? どったの?」
奈「な、なんでもないよ!?」
海「よーし、となったら明日に行動開始だ! そのためにまずは、寝る! お休み!」
音「お休み! 私も寝るよ! ぜっとぜっとぜっと(ZZZ)!」
クエイ「……私も寝る。今日は疲れた」
夏『私も寝るわー。もう死んじゃったから寝る意味ないけど』
奈「あ、はい。皆、お休みなさい」
代子「おやすみなさい。…………」

  こうして、また夜がふけていく……

  その夜。とある家の庭。
代子「…………」
  代子は一人、花の上にいた。
代子「……はあ」
奈「どうしたんですか、先輩!?」
代子「わわ、奈ちゃん。うん……ちょっとね」
奈「…………?」
代子「何だか、これからどうなるんだろうって考えたらね。ちょっと、ね……」
奈「代子先輩……」
  奈はその言葉を聞き、うつむいて、ぽつりと言った。
奈「……もう、ないのかもしれませんね」
代子「……え?」
奈「私達の住む場所は、もうないのかもしれません。時代が変わった、というべきなのでしょうか。もう、
 今は人の時代です。全てを決めるのは、人の手。全てを創るのは、人の手。そして全てを壊すのもまた、
 人の手。人、人、人。自然が如何に偉大といえども、自然は所詮、資源としか言われない。『使われる』
 側の存在。そして、自然と生きる、私達もまた……」
代子「…………」
奈「CMでは毎日のように私達を面白半分に取り上げて、ポップな絵柄で私達を殺してる。コッチの気も知
 らないで。アレを自分達人間でやったら途端に怒るくせに……。まあ、そんな道徳を持ち出すのは、子供
 っぽいのかもしれませんけど……」
代子「奈ちゃん……」
奈「代子さん……人とともに生きられない私達に、生きる場所は、もう、ないのかな……」
代子「…………」
代子(……どうなんだろう。私達が生きる意味って、何なのか。そんな事を考えるつもりはないし、そんな
  の、こんなちっぽけな私にはわからない。でも、考えずにはいられない。生きる意味は? 私達は、血
  を吸う。けどそれは、害にしかならないんじゃ? そんな事、生きている内に幾らでもするだろうけど。
  けど、でも……どうしてそんなことしなくちゃいけないんだろう。蝶でもなければ、蛾でもない。ガな
  らまだましだ。少なくとも、害はない。生きる場所。もう私達は、淘汰され、消えるべきなのかもしれ
  ない……)
???『そんなことないよ』
代子(え……だ、誰?)
???『生きることに意味はない。確かにそうかもしれない。でもだからこそ、生きてもいいんだ。無意味
  だからこそ、そこに義務はなく、だからこそ、許容がある。無意味だからこそ、意味を見出してもその
  人の勝手なんだ』
代子(……でも、私はもう疲れたよ。それでも、生きなければいけないの?)
???『生きなくてもいい』
代子(生きなくても、いい?)
???『言ったでしょ。義務はないって。生きなくてもいいの。何もしなくていいの。生きることに意味は
  ないのだから』
代子(……なら、どうして生きるの?)
???『さあね、解らないわ』』
代子(…………)
???『けど、夢見てしまうんだろうね。明日は良い事あるかも、って』
代子(…………)
???『死の世界って、そんなにステキ?』
代子(わからない……)
???『なら、生きなくちゃ。人生なんて所詮、遊びよ。だから、テキトーにやりゃあいいのよ』
代子(……なら、私は生きてもいいの?)
???『貴方は生きてもいい』
代子(…………っ!!)
???『……そろそろ行くわ』
代子(待って、どこに!?)
???『さあ、何処かよ。こことは違う、別の世界へ……』
代子(…………ううぅ)
???『もー、泣き虫なんだから。でも、もっと泣きなさい。貴女は自由よ。……じゃあ、ばいばい』
代子(うん……ありがとう。カ里ちゃん……)
奈「代子先輩、どうしたんですか? 何かぼーっとしちゃって」
代子「……そんな事ない」
奈「え?」
代子「生きる場所がないなんてことないよ」
奈「代子先輩……?」
代子「ううん。そうだとは言わせない。誰が何といおうとも、私達は生きている。どうしようもなく生きて
  いる。それは否定できない事実だし、否定なんてさせやしない。少なくとも、私達が私達を否定する事
  は、しちゃいけないよ」
奈「…………」
代子「皆、皆、生きている。オケラだって、あめんぼだって、ミツバチだって。皆、皆、生きている。どう
  しようもなく、生きている。だから……だから、私は生きるよ。絶対、どこまでも。一人になっても」
奈「代子先輩。…………。……そうですね。その通りです。私達の冒険は、まだまだ終わらない!」
代子「うん!」
奈「よーし! 私達の冒険は、これからです!」
 
  皆、見ているよね。私達は今、生きてるよ。

  生きるって 難しい事 
  だから生きるって 素晴らしい事 

 何か『イイ話だなー』で終わっているような感じだが、これはコメディーだ。  騙されてはいけないよ。  どうでもいい予告!  次回、音や奈達が憐れもない姿に! 新ジャンル「死亡ヒロイン」  それなんてRYONA…… 。 その他キャラ さんを付けるべき凸野郎、カ頭魔(KAZUMA) しゃべる赤車、カー図 IN乱(いんらん)のカ理 それにつけても悪八津(おやつ)のカー流 魔剣「剣タッキー」の使い手、白キ閃光のカ=ネル 最高の役立たずにして裏のボス、カ主(かす) 母なる大地 御カーさん
戻る