舞台裏「空の向こうでかく者語りき――making story――」
それでも世界は廻ってる。神が世界を創っても、数学者が神の存在を証明しようとも、哲学者が神は終
わったと叫ぼうとも、神が世界を創ってなくても。
それでも世界は廻ってる。何処かで少女が飛ぼうとしても、何処かで誰かがそれを止めようとしても、
その誰かが飛んだとしても。
頭でっかちが小難しい解釈を立てたり立てなかったり、気取り屋が長ったらしい講釈を垂れたり垂れな
かったり、暇人が訊いてもいない事をしゃべったりしゃべらなかったりしても、そもそもそんな事に誰も
見向きもしないし存在すら知らなかったとしても。
私がいてもいなくても。
君がいてもいなくても。
それでも世界は廻っていて、僕らは皆生きていて、今日も明日からもこうして生きて、何時か何処かで
終わるのだろう。
それでも何故、その夢を追いかける?
断言してもいいけど、これは陳腐な、ありきたりな問いで、三歩歩けば忘れるレベルだ。
でも、そんな問いに、確信をもって答えられるなら。その人はきっと、ずっと前を向いて歩けるだろう。
でも、その応えは何でも良くて、それこそ応えなくてもそれなりに良くて、だからこそやけに小難しい
のだろう。
それで、もう一度訊こう。
それでも何故、その夢を追いかける?
さあ、きみ。応えてくれ、この偽りに。
空を飛ぶ魔法はなく。敵を倒す聖剣は無く。星は願いを叶えてはくれず。護るべきものは無く。生きる
為の目的は無く。何時か来るべき終は避けられず。世界そのものの意味は解らず。
そんな世界で生きて、君は、何を語るというんだ。
私は想う。
君に逢えて良かった。
そう思えたのなら、それなら、きっと――
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